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泉美木蘭
2025.1.12 13:17

中国人に親切にされた話

ショッピングセンターの駐車場で、精算機の使い方にまごまごしてしまい、後ろに男性が1人並んでいたのもあって、「お先にどうぞ」と順番を変わった。
30代ぐらいのその男性は、精算機の前に立ったまま、うつむいてスマホの画面をポチポチ押している。
どうしたのかなと思ったら、そのスマホの画面をこちらに向けて差し出してきた。
なんだと思いながらのぞくと、中国語と日本語の翻訳アプリが開かれていて、こんな日本語が書かれていた。

「買い物した店で、QRコードのついた駐車サービス券を発行してもらってください。そのQRコードを精算機にかざせば清算できます」

びっくりしてしまった。
福岡の中国人には、こんなに親切な人もいたなんて!

以前、仕事で中国の蘇州へ行ったときは、ひどい目にあったけど。
高速道路のサービスエリアから出ようとしたら、出口の車道をふさぐように堂々と車を停めて、後続車を渋滞させたままトイレに行っている人がいたし。
現地の案内人に連れられてレストランに入ったら、
「濡れタオル持ってきた? 食器はぜんぶ自分で拭いてから使わないと汚いよ」
と言われたし、注文したワインからガソリンのにおいが充満していたし。
観光地を歩いていたら、果物売りのおばさんから
「おまえら日本人、ナタで首切ったるぞ!」
と怒鳴られたりもしたな…。
親切・不親切のレベルを超えて、恐怖だったんだよ、とにかく!

駐車場の親切な中国人男性は、日本で働いている人なのかなあ?
とにかく困っていたので助かった。
買い物した店に戻りながら、逆に、日本人の店員のほうが不親切になっていることを思った。

その店は、店員がいても、客をセルフレジに誘導する仕組みになっている。
それはいいのだけど、そばに立っている店員は、「いらっしゃいませ」も「ありがとうございました」も言わないし、ただ「2番レジへどうぞ」と指示して、ちゃんと操作してお金を払っているかどうかを背後から監視しているだけ。
手順を間違えてピーピー音を鳴らすと、いきなりにゅっと手を伸ばしてきて画面を操作し、「はい、続けて下さい」と指示されたりする。
駐車サービス券との交換が必要なことも案内されないし、困っちゃうなあという感じ。

自動化とともに、接触することへの忌避感みたいなものも根付いてしまっている。
「接客」という意識もなくなって、「番人」のような感覚で、客を整理をする流れ作業になってしまったのかもしれないな。
人手不足で、企業も自動化に一生懸命だから、接客教育なんかに目を向ける暇がないのかも。
ぶつぶつ言っても仕方ないんだけど、外国の店とあんまり変わらない感じなんだよなあ…。

 

泉美木蘭

昭和52年、三重県生まれ。近畿大学文芸学部卒業後、起業するもたちまち人生袋小路。紆余曲折あって物書きに。小説『会社ごっこ』(太田出版)『オンナ部』(バジリコ)『エム女の手帖』(幻冬舎)『AiLARA「ナジャ」と「アイララ」の半世紀』(Echell-1)等。創作朗読「もくれん座」主宰『ヤマトタケル物語』『あわてんぼ!』『瓶の中の男』等。『小林よしのりライジング』にて社会時評『泉美木蘭のトンデモ見聞録』、幻冬舎Plusにて『オオカミ少女に気をつけろ!~欲望と世論とフェイクニュース』を連載中。東洋経済オンラインでも定期的に記事を執筆している。
TOKYO MX『モーニングCROSS』コメンテーター。
趣味は合気道とサルサ、ラテンDJ。

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